[ 政治・経済 ]
(2017/10/27 16:30)
全面公開は先送り
【ワシントン時事】米国立公文書館が保管するジョン・F・ケネディ大統領暗殺事件(1963年11月)関係の機密資料が26日、トランプ大統領の指示を受け、一部公開された。公開対象には、銃撃犯として逮捕され事件2日後に殺害された容疑者、リー・ハーベイ・オズワルドに関する記録も含まれる。一方、「外交や安全保障への影響」を理由に、トランプ氏が約束していた全面公開は半年間先送りされた。
新たに公開された資料は2891件。米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)によれば、このうちこれまで完全非公開だったのは53件で、残りは既に部分公開されていた。
CNNテレビが公開資料の内容として報じたところでは、中央情報局(CIA)は暗殺事件の2カ月足らず前、オズワルドと在メキシコ・ソ連大使館の国家保安委員会(KGB)関係者との通話を傍受。CIAは、オズワルドがKGBの工作員である可能性を疑っていた。
1963年のケネディ米大統領暗殺事件のオズワルド容疑者に関する連邦捜査局(FBI)の記録(26日に米国立公文書館が公開、EPA=時事)
また、オズワルドの逮捕後、事件が起きたテキサス州ダラスにある連邦捜査局(FBI)事務所に容疑者殺害を予告する電話があったと、当時のフーバーFBI長官は証言。連絡を受けたダラス警察のトップが「(容疑者の)適切な警護を約束したが、それは実行されなかった」と、長官は振り返っていた。
一方、ワシントン・ポスト紙(電子版)は専門家の話として、事件当時のCIAダラス事務所長に関する文書など重要な資料が、今回の公開対象には含まれなかったと伝えた。CIAやFBIは公開に後ろ向きで、とりわけポンペオCIA長官がトランプ氏に見合わせるよう働き掛けたと、大統領に近い関係者は話したという。
資料の扱いを定めた1992年制定の法は、今月26日までに原則として全面公開するとしつつ、公開が「国防や情報収集、法執行、外交活動に有害」と認められれば、大統領は延期できると規定。米政府高官は、公開が見送られた資料について「捜査時の情報提供者とその役割、外国の協力者の支援で実行した活動の特定につながる、機微に触れる情報」などだと説明している。
(2017/10/27 16:30)