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[ 科学技術・大学 ]
(2017/11/21 05:00)
京都大学iPS細胞研究所(CiRA)の池田宏輝研究員と山本拓也講師らは、iPS細胞(人工多能性幹細胞)やES細胞(胚性幹細胞)などの多能性幹細胞で、分化関連遺伝子群が核内部で共に局在していることを明らかにした。多能性幹細胞は、体細胞に比べて同一染色体上の分化関連の遺伝子同士が核の中央部で近接していた。今後、細胞初期化や分化の制御に関わる配置を特定し、高品質なヒトiPS細胞などの効率作製につなげる。
研究グループは、ヒトのiPS細胞とES細胞で、複数の染色体上にある転写関連遺伝子など計29種の分化関連遺伝子の位置関係を確認。同一染色体上で「TWIST1」など、代表的な遺伝子と近接する部位を体細胞と比較した。分化関連遺伝子の位置関係が、細胞の初期化によって大きく変化することを明らかにした。
また、多能性幹細胞の分化関連遺伝子は、活性型と不活性型の両方のヒストン修飾が共存する「バイバレント修飾」を持つことが知られる。それを元に多能性幹細胞の遺伝子の核内配置を調べたところ、バイバレント修飾を持つ分化関連遺伝子が核の中央付近に多いことがわかった。分化刺激に対して反応しやすい配置とみられる。
成果は20日、英科学誌ネイチャーコミュニケーションズ電子版に掲載された。
(2017/11/21 05:00)