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[ 化学・金属・繊維 ]
(2017/11/23 05:00)
KRI(京都市下京区、田畑健社長、075・322・6830)は、木材パルプを少量の硫酸を含んだ有機溶媒中で撹拌し、セルロースナノファイバー(CNF)に解繊する化学処理「硫酸エステル化法」を開発した。常温下、半日程度の撹拌で90%以上を繊維径5ナノ―10ナノメートル(ナノは10億分の1)のCNFに解繊できるという。膨潤した状態で処理液を水に置換すると、スラリー状のCNF分散液になる。機械処理工程を省き、コストダウンを実現する新製法として技術供与で実用化を図る。
パルプはCNFの表面にある水酸基同士が強固に水素結合し、束になっている状態。硫酸エステル化法は有機溶媒に混ぜた硫酸が水酸基を化学修飾し、その静電反発力を生かしてパルプを解繊していく。
「静電反発によるCNF製法としてはTEMPO触媒酸化(磯貝明東京大学教授らが開発)と、リン酸エステル化(王子ホールディングス)が実用化されており、硫酸を修飾化剤に使う第三のアニオン(陰イオン)性CNFになる」(堀正典取締役常務執行役員ナノ構造制御研究部長)としている。
これまでパルプを繊維径10ナノメートル未満の“シングルCNF”まで解きほぐすには、化学薬品による前処理と機械処理を組み合わせる手法が採られてきた。受託研究機関でもあるKRIは電子顕微鏡により、硫酸エステル化法だけで10億分の1サイズにナノ化できることを確認済み。「従来手法の加工条件や詳細なコストは分からないが、大幅なコストダウンが期待できる代替技術になる」(同)と見込む。
(2017/11/23 05:00)
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