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[ エレクトロニクス ]
(2017/11/28 05:00)
ミネベアミツミが電子部品事業を拡大している。旧ミネベアと旧ミツミ電機が1月に経営統合して発足した同社は、大胆な生産改革に着手。旧ミツミの同事業は2016年度に営業損益で約100億円の赤字を計上したが、改革の効果により17年度に200億円の黒字に転じる見通しだ。開発面でも、3年以内に両社の技術を融合した新製品を投入する。経営統合で品ぞろえも拡充しており、こうした強みを武器に競合他社を追撃する。(渡辺光太)
【現場が劇的変化】
「統合前の生産拠点を撮影しておけば良かった。すでに製造現場は劇的に変化した。開発も(両社で)横断的に行っている」。ミネベアミツミの貝沼由久社長は11月上旬に開いた事業説明会で、統合効果を強調した。
統合前後で改善効果を比較できるように、旧ミツミの電子部品事業は統合後も同じセグメントで残した。アナリストから統合後の変化を問われたが「生産性の改善を行ったことで収益の向上に寄与している」(貝沼社長)と自信を示した。電子部品事業の黒字化は“通過点”と捉えており、旧ミツミの同事業として過去最高益となる331億円の突破をもくろむ。
【工場フル稼働】
生産性の改善は、効率的な人員配置や最適な設備投資のノウハウを持つ旧ミネベアの知見を活用した。旧ミネベアはパソコン向けタッチセンサーなどの不採算事業から撤退しつつ、生産現場の改革を推し進めて大規模な人員削減を回避した実績を持つ。そうしたノウハウを旧ミツミの中国工場やフィリピン工場に注ぎ込んだ。「1年前は三つ程度の工場の閉鎖を検討していたが、今はほとんどの工場でフル稼働が続く」(吉田勝彦常務執行役員)と話す。
生産の安定化と並行して営業活動も強化し、スマートフォンやゲーム向けで受注を相次いで獲得した。さらに高感度センサーなど新製品の開発にも着手しており、3年内の製品化を目指す。設計開発の分野でもシナジーを創出し統合効果を増大させる考えだ。
【競合他社追撃】
ミネベアミツミは電子部品の製品ラインアップが豊富になったことで、他社の主力製品と競合することが増えた。カメラ用アクチュエーターや小型スイッチはアルプス電気と、コネクター部品は日本航空電子工業やヒロセ電機と、ハードディスク(HD)用小型モーターは日本電産とシェアを争う。現時点では競合他社が先行する製品が多いものの、わずか1年弱で事業を立て直し、シェアを伸ばすミネベアミツミの存在は日増しに大きくなっている。
17年度の全社売上高は8100億円を掲げるが、現在の改善状況を踏まえると「20年度目標の1兆円を1年前倒しできる」(貝沼社長)と力を込める。統合効果で1兆円企業の仲間入りを果たせるか、部品各社が注目している。
(2017/11/28 05:00)
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