[ オピニオン ]
(2017/11/28 05:00)
群馬県・高崎アリーナで開かれた全日本体操団体選手権の公開練習で、富士通が体操競技の採点支援システムを公開した。2020年の東京五輪・パラリンピックでの実用化が目標であり、日本発の先進技術が体操競技の発展に革新をもたらすことを期待したい。
日本体操協会と共同開発中のシステムは、選手の動きを3次元レーザーセンサーで検出し、目視では分かりにくい回転やひねりなどを正確に可視化する。人工知能(AI)を活用し、肘の角度や技の切れ目などをリアルタイムに認識。技の難度などを数値化したデータベースと照合することで、採点を支援する仕組みだ。
開発を指揮する富士通研究所の佐々木和雄ライフイノベーション研究所長は「審判員が見るポイントをいかに数値化するかが難しい」と語る。
実用化で審判員、選手、観客・視聴者の3者にメリットが生まれるという。まず審判員は判定時の負担軽減が期待される。「かつてABCだった技の難度は、今やEFGHIまであり、きちんと記憶するのは簡単ではない」と日本体操協会の遠藤幸一常務理事は打ち明ける。
選手は3次元データを練習で生かすことで、競技向上の強力な武器となる。一流選手とのギャップを数値データで比較することで、最適な身体の動かし方を確認できる。
観客や視聴者にとっての利点も大きい。技の素晴らしさは見れば伝わるとはいえ、難易度などは解説を聞かないと分かりにくい。3次元データを観客や視聴者に分かりやすく見せれば、技に関する視聴者の理解が深まり、ファン拡大につながる。
富士通の藤原英則スポーツイノベーション推進統括部長は「スポーツ界と企業の新たな関係を構築したい」と語る。協賛型の企業支援にとどまらず、システム提供で得た利益を体操競技の発展に還元し、競技の魅力アップが利益を押し上げるようなサイクルを築く考えだ。
新たなビジネスモデルを創造する試みとして、全世界に広げてほしい。
(2017/11/28 05:00)
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