[ その他 ]
(2017/11/30 05:00)
サービスロボットは2035年に市場規模が5兆円に近づくと予想されており、日本では産学官が連携して技術・研究開発に取り組んでいる。29日に東京・有明の東京ビッグサイトで開幕した「2017 国際ロボット展」には企業や研究機関が開発した最新のサービスロボットが集結。来場者にヒトとロボットの新しい関係を提案している。
トヨタ自動車、強さと優しさ持つ
トヨタ自動車のヒューマノイドロボット「T―HR3」は、離れた場所にいる人の動きを再現する遠隔操作型ロボット。人が装着するマスター操縦システムの動きと連動する。開発のキーワードは「優しさ」だ。玉置章文パートナーロボット部長は「ロボットと人の共存には、力強さだけでなく優しさが必要」と説く。
コア技術は、T―HR3の関節29カ所とマスター操縦システム16カ所のトルクサーボモジュールだ。T―HR3が動いた時に関節にかかる力が、マスター操縦システムを通じて人に伝わる。玉置部長は「力加減を学習できる」と成長することも特徴に挙げる。使い込むことで、人に優しいロボットになっていく。
(「T―HR3」デモンストレーション)
ケーイーアール、顔認証で不審者逃がさない
ケーイーアール(愛知県豊川市)は、2輪ロボット「TAIRA」を出展した。番犬のように配置すると通行者を顔認証で識別してついていく。警備や介護施設での徘徊(はいかい)監視などに提案する。
顔認証機能で人物を判定し、レーザーセンサーでその人との距離を保つ。登録外の不審者を通報したり、介護施設入居者の徘徊をステーションに知らせたりするなどの用途を想定する。
2輪機構を開発して高速・高トルクを実現した。最大速度は時速20キロメートルに制限。柿原清章社長は「陸上用トラックで短距離選手を追走できることを確認した。見た目は丸く、機能はシビアにデザインした」と胸を張る。
システムクラフト、ランドセル背負い避難所でお手伝い
システムクラフト(東京都立川市)の「RANBOT(ランボット)」はランドセルを背負った防災ロボットだ。遠隔地のコールセンターの担当者が台風や地震などで集会所に避難した住民と、カメラとモニターを通じて会話できる。
内蔵した心拍計や温度計で心拍数と体温を計測し、避難者の健康状態を医師が把握することも可能。開発に当たって東京都立産業技術研究センターが技術協力した。
ロボットのボディーにはランドセルに使われる人工皮革を採用。丈夫で製造の低コスト化にも役立つとしている。商業施設や病院、レンタルショップ、図書館などでの案内、受け付けといった用途にも応用できる。
パンゴリン・ロボット・ジャパン、アニメ女性の顔で音声対話
ロボットの体にアニメの女性の顔―。一見シュールな案内ロボット「アリス」を展示したのはパンゴリン・ロボット・ジャパン(東京都調布市)。同社は中国の蘇州穿山甲机器人股分有限公司(江蘇省)の日本法人で4月に設立した。電気通信大学の技術を活用している。
自律移動で人を避け、音声対話も可能だ。中国では毎月20台のペースで売れており「ホテルなどの施設の案内や警備で利用してもらいたい」(利根川靖臣営業部長)という。
マッスル、文楽から生まれた「黒子ロボ」
マッスル(大阪市中央区)は伝統芸能の「文楽」をヒントに開発した「黒子ロボット」を披露した。仏像のマスクをかぶり、顔と両手の精密制御と緻密な動作で、感情を豊かに表現する。教示作業が簡単で、ロボットの顔や手に人が直接触れて動かすと、0・001秒ごとの位置を記憶して正確に再現できる。保存データを送信すれば、遠隔地でも同じ動作が披露できる。
すでに文楽で活躍しており、テーマパークなどでの活用も見込む。精密動作の記憶、再現には同社独自のモーターユニットを活用している。同社ブースでは音楽に合わせて動く世界初のパフォーマンス専用ロボットアームなども公開している。
(黒子ロボット)
三菱重工業、ロボ4台で連携消火
(2017/11/30 05:00)