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[ 科学技術・大学 ]
(2017/12/28 05:00)
防衛大学校応用化学科の林正太郎講師は、力をかけると色が可逆的に変わる柔軟性を持つ結晶材料を開発した。力を受けても分子がずれるため結晶は壊れず、屈曲と色の変化が繰り返せる。圧力を色で検出するセンサーや、高い伝播(でんぱ)効率と加工性を兼ね備えた、光ファイバーなどに使う「光ウェーブガイド」(光導波路)などの材料として、開発が期待されそうだ。
林講師は、一般的に堅くてもろいとされる結晶でありながら、高分子のように柔軟で加工しやすい材料を研究してきた。力をかけると結晶内の分子面が一方向にずれる「転移」によって曲がり、元に戻る仕組みだ。ワイヤが束になったイメージが一例だ。
今回は同時に色が変化する材料を探した。「π共役系高分子」の原料で使う「チアジアゾール基」を持つベンゼンに臭素が結合した市販の化合物に注目した。長さ約1センチメートルの針状結晶にしたところ、青緑色に発光した。
さらにピンセットでつまんで曲げると水色に変化し、力を除くと勢いよくまっすぐになり色も戻った。この変化は繰り返しできた。
この化合物が、分子間でハロゲン相互作用を示すユニークな物性を持つためだという。
力で色が変わる「発光メカノクロミズム」はこれまで、力による材料の変質に基づくものがほとんど。繰り返し利用はできなかった。
今回の材料は、色の変化はわずかだが繰り返し起こる。合成や加工も容易なことから、光デバイスの新材料としての展開につながりそうだ。
(2017/12/28 05:00)