[ 地域経済 ]
(2018/1/7 08:30)
北九州・小倉発祥の伝統工芸、小倉織の協同組合が今春までに発足する見通しだ。小倉織の製造・販売を手がける小倉クリエーション(北九州市小倉北区、渡部英子社長、093・561・0700)と関連団体などが協力し、組合立ち上げの手続きを進めている。小倉織の保存・発展に向けて、組合発足後、まず地域ブランドの認定、その後、伝統工芸品の指定を目指す。
模倣品対策も強化
小倉織は江戸時代初めごろからあり全国に広がっていったが、昭和初期に小倉の産業が重工業に向かう中、ノウハウが受け継がれず、1984年に染織家・築城則子さんが復元するまで、いったん姿を消していた。
渡部社長は「小倉織が二度と途絶えないよう守っていくだけでなく、これこそが小倉織だという定義、もしくはルールのようなものも決めて広く発信していきたい」とし、組合発足後には模倣品対策にも力を入れていく構えだ。
立ち上げ準備を進めている組合の名前は「小倉織協同組合(仮称)」。トップには築城さんが就く予定。福岡県中小企業団体中央会のサポートを受けながら、必要な手続きを進めている。組合には小倉クリエーションのほか、一般社団法人・小倉織、同豊前小倉織研究会、小倉織を製販する個人事業主が加入する見込み。
伝産法の指定目指す
小倉織は鮮やかなしま模様を特徴とする先染めの木綿布。小倉クリエーションの渡部社長によると、たて糸3本に対して横糸1本の割合で織り、江戸時代初めから、はかまや帯として親しまれていたという。「徳川家への献上品だった小倉織が多く保存されており、家康が鷹狩りに行くときのはかまが小倉織でした」。
小倉織は400年以上の歴史を持つとされる。ただ、国が伝統工芸品を指定して関連産業の振興を後押しする「伝統工芸品産業の振興に関する法律」(伝産法)が制定された74年当時は、小倉織がいったん途絶えた時期と重なっていた。伝産法が定めた伝統工芸品の条件に「主たる原材料が原則として100年以上継続的に使用されていること」があり、現時点で小倉織は伝統工芸品の指定を受けていない。
小倉クリエーションは機械織りの小倉織を製販する唯一の企業という。小倉織ブランド「縞縞」を国内外に展開している。ブランドづくりに関する取り組みが、経済産業省が世界に通用するブランドづくりを支援する10年度のJAPANブランド支援事業に選ばれた。渡部社長は「手織りの小倉織だけでなく、このブランドを通じて小倉織の素晴らしさを知り、次代につなごうとしてくれる若い人たちが増えればうれしいですね」と話す。
(2018/1/7 08:30)