[ オピニオン ]
(2018/1/5 05:00)
北朝鮮の暴発など、東アジアの不測の事態を抑止するために、政府は中国・韓国との連携強化の道を探ってほしい。
北朝鮮による弾道ミサイル・核開発がもたらす東アジアの危機は、打開の糸口が見えない。日本国民の生命・財産が脅かされるだけでなく、危機の長期化は経済活動にも支障をきたす。万一、局地的なものであっても戦火がもたらされるようなことを産業界は決して望まない。
事態は1国で対処できるものではない。周辺各国が結束して北朝鮮を制約すべきだが、日中韓の足並みは乱れている。日本がリーダーシップをとる環境を実現できないだろうか。
日中韓の対立の根は深い。中国の急速な軍備拡張は南シナ海で周辺諸国との新たな緊張を生んでいる。東シナ海では海底ガス田開発や尖閣諸島問題を巡って、日本に挑戦的な姿勢を強めている。
韓国は歴史問題での対日批判を続けている。最大の懸案である第2次大戦中の慰安婦問題は、一度は「最終的・不可逆的な解決」に合意した。しかし昨年末、韓国は再検証で「被害者に受け入れらない」などとする報告書をまとめ、合意破棄をにじませる。同国内では大戦末期の勤労動員に対する賠償問題もくすぶっており、日本企業の事業展開に影を落としている。
いずれも日本としては妥協できない問題だ。ただ中韓との対立を深めるだけでは東アジア情勢の混迷から抜け出せない。日米の緊密な関係を背景に、防衛力強化と経済交流拡大の両面で中国との対話のパイプを太くしたい。また韓国には慰安婦合意の順守を強く求め、歴史問題に過度に傾斜した同国の国民感情を未来志向に転換するよう促さねばならない。
まずは日中韓首脳会談の実現に向けた努力が優先されよう。また2月の韓国・平昌を皮切りに2020年の東京、22年の北京と、3回のオリンピックが東アジアで連続して開かれる。平和と安定の一助にする方法はないか。日中韓の連携強化を探ることが、18年の日本外交の大きな課題となる。
(2018/1/5 05:00)