[ オピニオン ]
(2018/1/9 05:00)
ことし楽しみな科学技術上の挑戦の一つが宇宙探査機『はやぶさ2』だ。目的地の小惑星『リュウグウ』に向け、近くイオンエンジン噴射を再開する。6―7月の到着まで半年間の長期運転は「決して楽観できない」と、宇宙航空研究開発機構ミッションマネージャの吉川真さん。
初代は「こんなこともあろうかと」という事前準備で困難を乗り越えて帰還を果たした。2代目の目的地は地形も自転状況も不明で、初代以上に手探りなのだとか。
深宇宙から届くデータを元に、科学的価値と安全性を両立させつつ、試料の採取と小型着陸機の降下点を短期間で決めなければならない。運営チームは昨年のうちに仮想小惑星『リュウゴイド』を設定し、入念に訓練をした。
この時は「スノウホワイト」と名付けた大きめの砂地をタッチダウン地点に選定した。命名者はプロジェクトサイエンティストで名古屋大学大学院教授の渡辺誠一郎さん。七つの小クレーターに囲まれた様子が「白雪姫のようだなと思って…」と、はにかみながら打ち明ける。
当然、本番では使わない地名だ。ロマンチストの科学者はどんな名をつけて未踏の地に挑むか。『リュウグウ』だけに白雪姫ではなく、乙姫をお勧めしたい。
(2018/1/9 05:00)