[ オピニオン ]
(2018/1/8 05:00)
大発会で日経平均株価が26年ぶりの高値を記録し、日本経済は順調に滑り出した。世界経済も経済協力開発機構(OECD)や国際通貨基金(IMF)が昨年を上回る成長を見通しており、楽観的な展望が大勢を占めている。
経済面の明るさをよそに、米国の著名な政治学者は国際政治が破綻し、国際秩序が崩壊するリスクが高まっていると警鐘を鳴らす。「アメリカ・ファースト」で内向きになった米国の機能不全で国際秩序に空白が生まれるという。
米国のリーダーシップが弱体化すると、その座をうかがって新たな秩序を創ろうとするのは中国だろう。強固な体制固めに成功した習近平国家主席といかに付き合っていくか、各国が知恵を絞る必要がある。
北朝鮮やシリアと米国の間での偶発的な軍事衝突の危険性もある−そう政治学者は言う。このリスクが現実のものとなれば、経済面への打撃は大きく、国際秩序の崩壊どころではない。
これらリスクのもとをたどれば、トランプ大統領が率いる米国の保護主義に行き着く。11月には中間選挙を控えているため、保護主義色をさらに強めることが危惧される。安倍晋三首相は折に触れて自由貿易の必要性を訴え続け、大統領を目覚めさせてほしい。
(2018/1/8 05:00)