[ オピニオン ]
(2018/1/15 05:00)
和歌山県営の南紀白浜空港(和歌山県白浜町)が民営化に向けて動きだした。運営を担う事業者を公募・選定し、2019年4月の民営化を目指す。応募の選択肢を広げるため異例の条件も示しており、小規模空港の民営化のモデルケースになるか注目される。
現空港は1968年開港の旧空港を移設し、96年に開港した。2000メートルの滑走路が1本あり、定期便は東京・羽田便が1日3往復する。搭乗客数は08年度に15万人を超えたが、16年度は約12万人にとどまる。
滑走路とその周辺は県が、空港ターミナルビルは県や日本航空などが出資する第三セクターが運営する。ターミナルビルは年間数百万円の黒字だが、滑走路の維持管理などに多額の費用がかかり、年間約3億円の赤字は県が負担している。
このため県は今回の公募で、運営事業者に対し(1)国際チャーター便の誘致など航空便の拡充策(2)県が建設する国際線受け入れ機能を持つターミナルビルの設計案―など具体的な提案を求めている。
一方で民間企業にとって異例の好条件も提示した。空港民営化は運営権の売却が一般的。だが今回は、運営を担う事業者が支払う対価を無償とし、さらに10年間で31億円を上限に県が費用を負担するという項目を募集要項に盛り込んだ。
また事業手法も、県が事業者に運営権を無償譲渡する方法のほか、県営のまま運営を委託する「指定管理」や、一部の業務を任せる「業務委託」などから事業者が選べるようにした。
仁坂吉伸知事は「(空港を売り込む)ポートセールスができる主体としてプロ(民間企業)にお願いする」と説明する。空港利用者を増やすとともに、事業の効率化を進め、地域経済の活性化につなげたい考えだ。
今後は有識者による2度の審査を経て5月中旬に優先交渉権者を決める。同空港がある南紀白浜では県が企業誘致を積極化する一方、ホテルのリニューアルも進む。空港民営化を機に、この地域への“人の流れ”が加速することを期待したい。
(2018/1/15 05:00)
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