[ オピニオン ]
(2018/1/16 05:00)
2018年春闘における経営側の交渉指針がきょう決定する。今年は働き方改革が本格的に始まって最初の春闘。長時間労働の是正をはじめとする改革の成果を従業員にどう還元するか、労使双方の努力に期待する。
経団連は16日の幹事会で、経営側の交渉指針となる経営労働政策特別委員会報告(経労委報告)を了承する。23日の連合とのトップ会談を皮切りに各社の労使交渉がスタートする。
18年春闘は開始前から異例ずくめの様相だ。経済の好循環とデフレ脱却には高水準の賃上げが不可欠と考える安倍晋三首相は、昨年秋に早々に3%の賃上げ率(定期昇給とベースアップの合計)実現への期待感を表明。これに呼応し、経団連は経労委報告で「3%」に言及せざるを得ない状況となった。
政府が経済界に賃上げを促す“官製春闘”は5年連続だが、賃上げ率は鈍化している。3%台の賃上げ率は94年の3・11%を最後に実現していない。
政権と経済界の攻防を前に「3%」の達成の行方に目を奪われがちだが、とりわけ今年は重要な論点がある。働き方改革に伴う時間外手当の減少分の還元策である。
経営側もこの点を強く意識し、経労委報告で「時間外労働の削減などによる長時間労働の是正は働き方改革の一面に過ぎず、労働時間管理だけが目的化することがないよう留意しなければならない」と言及する。その上で時間外手当が減少した場合には、何らかの形で社員への処遇改善へつなげる方針を明らかにするよう求めている。
残業時間の上限規制の趣旨を踏まえれば、社員の健康増進への助成や職場環境の改善などを有力な手法と挙げている。新たな手当の創設も選択肢となろう。
これら方策は当然のことながら、各社が実情にあわせ採用するべきだ。労使自治の原則が貫かれるはずの春闘にまで政権が介入する昨今だからこそ、経営側の知恵と努力で働き方改革とデフレ脱却を確実なものとし、経済界の面目躍如としたい。
(2018/1/16 05:00)
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