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[ 科学技術・大学 ]
(2018/1/25 05:00)
東京大学大学院情報理工学系研究科の下山勲教授、松平謙英大学院生らは、ヒトiPS細胞(人工多能性幹細胞)由来の心筋細胞が拍動する力を直接計測するシステムを開発した。システムを用いた測定で、iPS細胞由来の心筋細胞が、生体と同様の性質を持つことが分かった。iPS細胞の機能評価や創薬に応用が期待される。
心臓は血液が流れ込むと細胞が伸長し、細胞が縮んで血液を送り出し、拍動する。流れ込む血液が多いと、より大きな力で細胞は縮もうとする。
生体由来の心筋細胞の拍動は、細胞が浮遊した状態で測定する仕組みがあるが、培養が必要なiPS細胞由来の心筋細胞は評価が困難だった。
研究チームは、材料の中にリンイオンなどの不純物を高濃度に添加した「n型シリコン」を使い、センサーを作成。外部からの力で生じる内部の抵抗力の変化について、高い精度で計測するシステムを構築した。このシステムを使って、培養中のiPS細胞由来の心筋細胞を伸長させつつ、拍動の力を計測すると、細胞を引き伸ばす力が大きいと、大きな力で縮もうとするヒトの心筋細胞と同様の性質が確認できた。
下山教授は、「iPS細胞の場合、細胞ごとのバラつきも確認できた。より詳しく調べるため、ヒトの心筋細胞との比較を進めていく」と話した。成果は、微小電気機械システム国際学会で発表された。
(2018/1/25 05:00)