[ オピニオン ]
(2018/1/25 05:00)
「貯蓄から投資へ」と叫ばれて久しい。家計が潤い、さらなる投資につながるという好循環を生み出すためにも、企業は長期積み立て型の少額投資非課税制度「つみたてNISA」に積極的に参加すべきだ。
今月から始まったつみたてNISAは、2014年に導入されたNISAと比べ、少額からの長期・積み立て・分散投資に特化し、投資入門者でも資産形成しやすい。
金融庁は新制度の普及を後押しするため、各企業が職場で金融機関の説明会や口座開設手続きを行えるようにする制度「職場つみたてNISA」を創設。まず同庁内で説明会を開く。制度の取り扱い規程や運営要領を公表し、他省庁にも活用を呼びかけている。
大和証券は給与天引きや銀行口座引き落としによる拠出ができる、職場つみたてNISAを導入すると公表した。職場という身近な場で投資機会に触れられる同制度を、他の企業も導入してはどうだろうか。
導入する上で金融庁の取り扱い規程や運営要領は参考になる。投資に及び腰になる原因の一つに、法令や内規に触れるのではないかという懸念がある。しかし、投資の対象となる投資信託はインサイダー取引規制の対象にはならない。こうした基本的な知識を社内で共有するだけで、投資を身近に感じる従業員もいるだろう。
現預金として眠っている個人資産が投資に流れれば、株式市場の安定化につながり、成長資金の供給源となる。家計にとっても中長期に安定的なリターンを通して金融資産の増加につながる。企業の持続的な成長や従業員の福利厚生の観点からも同制度は有効だろう。
家計が保有する金融資産の現預金の比率は、米国が14%、英国が24%で、株式や投資信託などリスク資産にも多く配分されている。これに対し、日本は約1800兆円に上る家計金融資産の50%超を現預金が占める。「資産が付加価値を生み出せていない」(金融庁幹部)状況を脱するため、産業界の行動力が求められる。
(2018/1/25 05:00)