[ オピニオン ]
(2018/1/29 05:00)
成長分野とされながら、欧米に後れをとるといわれる日本の医療機器産業。官民で競争力強化に向けた道筋を示すのは重要だが、同時に従来の“殻”を破るような実行力を求めたい。
経済産業省や日本医療機器産業連合会、日本医師会などが、医療機器のイノベーション(技術革新)を加速するための研究会を発足した。3月末までに報告書をまとめ、施策立案に反映させる。
重点的に取り組む開発分野・市場の絞り込みや、付加価値を生むビジネスモデルの構築、規制や保険制度のあり方などを官民で議論。さらに医療機器企業の海外展開や成長する治療機器分野への展開、ベンチャー企業の創出、異業種からの参入促進などがテーマとなる。
日本の医療機器市場は約2兆8000億円で、世界の1割弱を占める。米国に次ぐ第2位の市場だが、新興国市場が急速に成長し、日本市場の地位は相対的に低下している。
世界の医療機器企業の売上高上位は欧米企業が占める。内視鏡やコンピューター断層撮影装置など画像診断分野は日本企業が競争力を確保する一方、成長性が高いとされる人工関節やステントといった治療機器分野は欧米企業に大きく後れをとるといわれる。
また欧米企業はM&A(合併・買収)に積極的で、ベンチャー企業が技術を開発し、大手企業が市場化するというのが技術革新の潮流だ。日本はベンチャーの成功モデルに乏しく、大手も新分野展開のスピード感に欠ける。特に治療機器はリスクの高さから市場参入に及び腰だという。
日本には以前から安定した市場があり、自社の強みを磨くことが成長の原動力となった。だが強い“自前主義”が技術革新の阻害要因となっていることは否めない。
人工知能(AI)やIoT(モノのインターネット)、ロボットなどとの融合が進む中、官民で技術革新の道筋を示すことは評価できる。議論だけに終わらず、具体的な実行策に移す胆力を求めたい。
(2018/1/29 05:00)
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