[ オピニオン ]
(2018/2/6 05:00)
自宅の本と音楽CDを整理した。9割以上は手放したが、捨てられないCDが300枚ほど。それでも薄型ケースに入れ替えることで、スペースを半分以下にできた。
問題は本である。若い頃の愛読書は捨てられないが、これ以上は増やしたくない。電子書籍リーダーを購入し、試してみることにした。手にすると想像以上に使い勝手がよく、直感的に操作できる。分厚い文庫本より軽く、持ち運びにも支障がない。
ありがたいと感じたのは、電車での移動中にネットで購入できる点だ。帰宅途中に手持ちの本を読了してしまい、続きが読みたくて東京・神田神保町の書店街に舞い戻るようなことはもう必要ない。
長所ばかりではない。一番の短所は装丁が楽しめないことだ。優れたデザインの表紙や美麗な口絵が添えてあっても、手に触れられぬ電子データでは、どこか物足りない。装丁の質感を求めて文庫版ではなく全集をそろえるようなファンを、電子出版は想定していない。
若いときは図書館で借りた作品に惚れ込み、夜通し大学ノートに筆写した記憶がある。電子書籍では、繰り返し閲読する作品に出会えたとしても『韋編三絶』とはいかない。書に親しむスタイルが変わってしまった。
(2018/2/6 05:00)