[ オピニオン ]
(2018/2/7 05:00)
少しばかり食傷気味ではあるが、14日のバレンタインデーが近づいてきた。女性社員が上司や同僚に義理チョコを期待されて悩むシーンは、もはや古めかしい。それでもチョコの売り場はにぎやかなのだから、菓子業界の販売戦略はいまも有効だ。
海外旅行の予約が始まった“ゴールデンウイーク”も、最初は映画産業がつくった宣伝文句だという。昔からの慣習のように定着しているが、実は売り上げ増を狙った消費者産業の知恵である。
成人の日に晴れ着レンタル業者が雲隠れした事件が、まだ尾を引いている。金銭詐取は許せない。しかし「一生に一度の晴れ着なのに」と嘆く新成人に対し、年配の方の中には「いささか大げさ」と感じる人もいる。
成人式と着物の関係は意外に歴史が浅い。そもそも成人式は戦後に始まった行事。当時の和服業界が晴れ着を商業的に訴求した。戦時中にぜいたく品として振り袖が排斥され、戦後も苦境が続いた業界が再生の機会にしたという説もある。
バブル崩壊以降、個人消費は伸び悩みが続く。バレンタインに次いで2月の不需要期を狙った「恵方巻き」も最近では大量廃棄が問題視されている。消費喚起に向けた民間の知恵は、時流といたちごっこである。
(2018/2/7 05:00)