[ オピニオン ]
(2018/2/8 05:00)
ある自動車部品メーカーの社長に、真剣な表情で問われた。「我々のように、これだけの危機感を持っている企業をほかにご存じですか」―。迫り来る構造変化の大きさをあらためて感じた。
自動車産業は今、変革期を迎えている。異業種を巻き込んで電気自動車や自動運転技術の開発競争が激化。一方でシェアリングなど、従来の“マイカー”の概念が通じないサービスも普及が始まった。
かつてエレクトロニクス業界で起きたデジタル化の波は半導体やテレビのシェアを激変させ、世界大手の座から何社もの日本勢が転落した。手をこまねいていれば完成車メーカーでも同じことが起きかねない。
冒頭の部品メーカーは、車の駆動系が内燃機関からモーターに置き換われば主力製品の一部が不要となる。社長が危機感をあらわにするのも当然だ。生き残りと成長には、系列にこだわらない大胆な事業拡大戦略が不可欠。欧州で新工場を稼働させ、それをテコにドイツの高級車メーカーから受注を狙う。
同席した幹部は「世界メーカーに脱皮するため、大胆にリスクをとりつつしなやかに行動したい」と意欲を燃やす。グローバル企業を目指すこの部品メーカーの大きな挑戦を心から応援したい。
(2018/2/8 05:00)