[ オピニオン ]
(2018/2/9 05:00)
道路や橋、トンネルなどの社会インフラの老朽化が確実に進んでいる。ただ地方自治体は、維持・管理に必要な人材や予算を十分に確保できないのが実態だ。効率的で低コストの維持・管理手法を官民で考え、実行する必要がある。
2012年12月の中央自動車道笹子トンネル天井崩落事故の発生を機に、国土交通省は13年を「メンテナンス政策元年」と位置付け、さまざまな施策に取り組んできた。それから5年たったのを機に、これまでの取り組みを評価し、今後の維持・管理のあり方を検討する委員会を創設した。
従来の施策で課題となっている一つが、個々のインフラ施設の状態に応じた点検・修繕・更新計画の策定だ。策定期限は20年度末を予定するが、市町村レベルでは遅れている。例えばトンネルは国が100%、都道府県・政令市が71%の策定率に対し、市町村はわずか18%。母数が多いという違いはあるが、厳しい実情が垣間見える。
人材や予算が不足する市町村にとって、メンテナンス体制の確立は大きな課題だ。国交省はこれまでにも技術的・財政的支援を実施。都道府県は市町村の点検・診断の発注業務を、地域一括でまとめて実施する取り組みを始めている。各地でPPP(官民連携)やPFI(民間資金を活用した社会資本整備)の事例も増えてきた。
5年前と比べ、優れた取り組みが出てきたのは歓迎すべきことだ。だが少子高齢化時代を迎え、予算と人材は限られる。増加し続ける老朽施設を維持・管理するには、より積極的な施策の展開が必要だろう。
国交省は市町村の実態を正確に把握するため、インフラの維持・管理状況についてアンケートを行う。その結果を踏まえ、議論を深める。年内に新たな施策を提言する予定だ。
すでにインフラを資産(アセット)と捉えて活用するアセットマネジメントの考え方や、集約・再編に向けた施策などを検討課題に挙げる。効果的な維持・管理手法を大胆に議論してもらいたい。
(2018/2/9 05:00)
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