[ オピニオン ]
(2018/2/14 05:00)
政府は日本再興戦略で「国際会計基準(IFRS)の任意適用拡大」をうたっている。ルール変更だけでなく「経営管理の高度化」が狙いという。いずれ全面適用になるのかと思っていた。
実務家によると、そう単純ではないそうだ。米国の国内企業はいまだに自国基準オンリー。IFRSは欧州連合(EU)内で最も普及しているが、伝統的に基準策定をリードしてきた英国がEUから離脱することで先行き不透明感も浮上している。
日本基準では買収・合併時に発生する「のれん代」に償却義務がある。IFRSと米国基準では必要があった時に減損処理する。このため純資産以上の巨額ののれん代を抱える大企業がある。日本基準の方が保守的で安全性が高いともいえる。
日本でIFRSを推奨されているのは上場企業だけ。中小企業はじめ実務の最前線では、今も日本基準が主役だ。だから「日本基準を高品質なものに維持・向上していく必要がある」と、公的機関である企業会計基準委員会の役員は話す。
中国や韓国はIFRSに準じて国内基準を決めている。日本企業のように海外事業ごとに別の基準で経理する必要もない。日本が会計ルールを今後どうしていくかは、悩ましい問題のようだ。
(2018/2/14 05:00)