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[ 自動車・輸送機 ]
(2018/3/6 13:00)
テスラは年次報告書の中で、マスク氏が自身の時間の全てを事業に注いでいないと説明している。米グラスルイスも10桁の報酬計画で刺激されるのかと疑問視している(ブルームバーグ)
米電気自動車(EV)メーカーのテスラの株主は、イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)への26億ドル(約2800億円)の報酬支払いに反対すべきだと、議決権行使助言会社で世界2位の米グラスルイスが勧告した。こうした動きはマスクCEOが近い将来テスラを去ることはないと投資家を納得させようとする同社の取り組みにマイナスとなる可能性もある。
報酬計画に関する2月28日の顧客向けリポートでグラスルイスは、マスクCEOに同社株をさらに12%与え得る内容で規模が大き過ぎ、他の投資家が保有する株式の希薄化につながると指摘。リポートはブルームバーグが5日入手した。今回の報酬計画は今月21日の臨時株主総会で承認を得る必要がある。
グラスルイスは報酬計画の規模は桁違いだと記し、マスクCEOに引き続きEV事業に全力を傾けさせるために、なぜ記録的高水準の株式報酬が必要なのかという疑問が生じると指摘した。
支持派は、マスクCEO(46)はテスラにとどまり、同CEOの他の野望が株式報酬に優先されることはないだろうと評価する。一方、既に大金持ちでテスラ株を約20%を保有しているマスクCEOが10桁の報酬計画で刺激されるのか、同CEOがテスラを捨てて自身の別のベンチャービジネスに走るのではないかとの投資家の懸念をなだめる措置としてはかなり高額な方法ではないかとの疑問も生じている。
テスラのカリフォルニア州パロアルト在勤広報担当者は、コメントを控えた。
テスラのイーロン・マスクCEO(ブルームバーグ)
今回の報酬計画が最初に公表されたのは1月で、テスラの時価総額が6500億ドル以上に増え、同時に売上高と利益の野心的な目標を達成した場合、最大2030万株を購入するオプションをマスクCEOに付与するという内容。こうした目標を実現できれば、テスラは世界最大級の企業に、そして同社CEOは恐らく世界で最も裕福な人物になる。
テスラは年次報告書で「マスクCEOは当社にかなりの時間を割いており、経営に極めて積極的だが、自身の時間と関心の全てを当社に注いではいない」と説明。マスク氏は宇宙ベンチャー企業、スペース・エクスプロレーション・テクノロジーズ(スペースX)のCEOも務める。脳科学関連の新興企業ニューラリンクなどのベンチャー事業も手掛けており、マスク氏はテスラにかける時間を減らす方向なのではないかとの観測が高まっているが、同氏は繰り返し否定。2月のアナリストとの電話会議では、「予見し得る将来にわたり、CEOにとどまる。現時点で変更の計画はない」と述べている。(ブルームバーグ)
(2018/3/6 13:00)