[ オピニオン ]
(2018/4/4 05:00)
契約社員やパート社員といった非正規社員の「無期転換ルール」が1日に始まった。改正労働契約法により、通算5年を超えて契約を更新する有期雇用者が希望すれば、期間の定めのない無期雇用に転換できる制度だ。混乱を避けるためにも周知徹底を求めたい。
2008年のリーマン・ショックで“雇い止め”が社会問題になったのを機に、法改正された。非正規社員の比率は4割に達しており、対象者は全国で約450万人に上ると推計される。
連合が17年4月に行った調査によれば、有期契約社員の8割以上がこのルールを知らなかったという。企業の大部分を占める中小企業では、労務管理のノウハウもなく、専門の担当者もいないケースが多い。
厚生労働省や日本商工会議所はセミナーなどで啓発活動を行ってきたが、なかなか認知が進まないという。新ルールが始まる4月以降、多くの現場で混乱が生じる恐れもある。
制度を悪用した雇い止めを防ぐ必要もある。例えば、6カ月以上のクーリング(空白)期間があれば、その空白期間以前の契約期間が通算されない。制度を利用し、いったん6カ月の一時離職を促すケースなどだ。
一方、主婦層の非正規労働者確保に悩む金融、流通・サービス業では、無期転換の動きが加速している。みずほフィナンシャルグループは勤続年数の“ハードル”を下げた。勤続3年以上の約7000人のうち、95%に当たる約6500人が無期転換を希望したという。
規模が大きいのが、約20万人の有期契約社員「ゆうメイト」を抱える日本郵政グループだ。この4月で前倒し実施を含めて無期雇用希望者数は約9万2000人に上る。残りの約10万1000人についても順次、無期転換制度の対象となる。
今後の課題は、同じ無期雇用の正社員との処遇格差だ。予定通り「同一労働同一賃金」制度が19年4月に施行されれば、各種手当や残業・休日手当も正社員並みが求められる。労使とも早急な準備が必要だ。
(2018/4/4 05:00)
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