[ 政治・経済 ]
(2018/4/14 07:00)
政府は13日の知的財産戦略本部・犯罪対策閣僚会議で、漫画やアニメなどを無料で見ることができるインターネットの海賊版サイトに関し、著作権保護のための緊急対策を決定した。悪質なサイトを対象にしたインターネット・サービス・プロバイダー(ISP)による閲覧防止措置を推奨。来年の通常国会への法案提出を目指し、具体的な検討を進める。
安倍晋三首相は会議の冒頭、海賊版サイトについて「わが国のコンテンツ産業のあすを閉ざす事態となりかねない」と懸念を表明し、対応を関係閣僚に指示した。
緊急対策では、著作権者などの利益を明らかに侵害するコンテンツをインターネット上に相当数掲載し、削除などの対応では実質的に権利の保護が難しいといった一定の条件を満たすサイトについて、閲覧防止措置が適当だとした。
表現の自由などの観点から同措置に懸念の声が出ていることに関し、菅義偉官房長官は記者会見で「あくまで法整備までの臨時的、緊急的な措置」と強調。乱用防止と速やかな法整備を閣僚間で確認したと説明した。
悪質な海賊版サイトの例としては、「漫画村」「AniTube!」「MioMio」を明示。内閣府知的財産戦略推進事務局は「権利者団体がISPに閲覧防止措置を要請しやすい環境になる」としている。
対策にはこのほか、学校や地域での著作権に関する教育や、著作権侵害者の資金源を断つ取り組みを強化する方針を盛り込んだ。(時事)
「大きな前進」と評価、海賊版サイト対策で―大手出版社
インターネットの海賊版サイトによる漫画やアニメの著作権侵害を防ぐため、政府がインターネット・サービス・プロバイダー(ISP)による閲覧防止措置を推奨する対策を決定したことを受け、人気漫画や雑誌を発行する大手出版社は13日、「大きな前進」などとする声明を発表した。
講談社は、今回名前の挙がった3サイト以外にも悪質なサイトが「多数存在」すると指摘。漫画市場だけで数兆円規模の被害がある現状を「放置すれば、日本のコンテンツ産業を根底から破壊し、すぐれた才能を枯渇させる」とした。
集英社は、政府の対応を「大きな前進と考える。今後、実効性のある対策が整備されることを強く望む」と訴えた。(時事)
(2018/4/14 07:00)