[ 政治・経済 ]
(2018/4/19 11:30)
【カイロ時事】シリアのアサド政権が反体制派の拠点に対して化学兵器を使用したとされる首都ダマスカス近郊の東グータ地区ドゥーマで、18日に予定された化学兵器禁止機関(OPCW)の現地調査が延期された。調査に先立ち17日にドゥーマを訪れた国連の警備要員が銃撃を受け、爆発物もさく裂するなど、治安の悪化が理由。
警備要員に負傷者はなく、ダマスカスに無事戻った。OPCWの調査団は当面シリアにとどまり、ドゥーマの治安情勢を見極めて現地入りの可否を判断する。OPCWは18日の声明で「いつドゥーマ入りできるか分からない」と説明し、調査着手のめどが立たないことを明らかにした。
調査団は14日にダマスカスに入り、アサド政権側と協議。シリアのジャファリ国連大使は17日の国連安保理会合で、18日にOPCWの現地作業が始まると述べていた。
OPCWはドゥーマで被害者の血液や土壌などの試料採取を進めたい意向だが、化学兵器の使用を一貫して否定するアサド政権やその後ろ盾ロシアが既に証拠類を消去したとの疑念もある。作業着手が遅れることで、現地調査の実効性に一層懸念が強まりそうだ。
(2018/4/19 11:30)