(2024/12/16 12:00)
障がい者の社会参加促進や就労を目指し、分身ロボットを使った接客や道案内などの実証を福岡県が進めている。外出困難でも外部の人とコミュニケーションできることは、活動の可能性を広げる。
障がい者が作る製品の販売会が福岡県庁で8月に開かれ、分身ロボット1台が置かれた。県内2カ所の障がい者支援施設の利用者約10人が、交代でタブレット端末を使って操作した。ロボットの首などを動かしながら、ロボットに付いたカメラの画像を見つつ来場者に話しかけたり、売り込みを担当した菓子の説明をしたりした。
操作者は事前に商品について学んで想定問答を準備し、端末操作を練習した。販売会では賞味期限などの質問に答え、商品に合う飲み物を提案した。操作者からは、普段話さない人とのコミュニケーションに「楽しかった」といった喜びの声が上がった。
9月から11月にかけての就労実証ではJR九州の協力を得て、吉塚駅(福岡市博多区)の「みどりの窓口」にロボットが置かれた。業務内容は道案内など。ロボットで受け答えするだけでなく、隣のモニターで地図を表示しながら案内するといった同時作業を複数人で対応した。
同実証では週10時間以上の就労継続が可能かどうかや、操作者への負担、必要な支援、ロボットの効果、課題について検証した。操作者からは「やりがいを感じ、社会につながることができると感じられた」などの感想があった。
就労実証は12月2日に第2弾が始まった。水族館「マリンワールド海の中道」(同東区)のレストランで、ロボットが受け付けサービスを担うほか館内やイベントの案内を行う。駅での第1弾実証に比べて対応頻度が上がり、スピードが求められるという。
分身ロボットの実用化について県の担当者は、適した業務の見極めがポイントになるとみており、「どのような業務を切り出すかが重要だ」と話す。
(2024/12/16 12:00)
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