現代の名工／農業用機械組立工 クボタ・濵﨑省治氏

部品「手元化」 生産性向上

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１９３７年に操業したクボタの堺製造所（堺市堺区）は１３５馬力以下の大型トラクターを製造するマザー工場。大型機種「Ｍトラ」は約３７０型式に及ぶなど、多品種を効率的に組み立てる仕組みを構築する。徹底的にムダを省き、生産リードタイムを短縮するモノづくりの基盤構築に奔走したのが濵﨑省治さんだ。

取り組みの一つが部品や工具を作業者に近づける「手元化」。従来は部品を取る人、組み付ける人が別のため、型式ごとに何度も部品を取りに行く手間があった。現在は無人搬送車（ＡＧＶ）の上に乗り、部品を組み付けながらピッキングを行うことで工数を大幅に削減。変速機の組み立てでは必要な工具が、必要なタイミングで降りてくる自動化システムを導入し、作業者はほとんど動く必要がない。部品や工具を取りに行く付加価値を生まない時間を減らし、生産性向上に寄与した。

濵﨑さんは１９８７年に入社。２０代半ばから約１０年間、トラクターの品質管理に配属されたことが転機となり、「トラクターの構造全てを頭に入れたことが後々の改善活動の地盤になった」と振り返る。海外の工場立ち上げに携わるなどグローバルに活躍した。

現在約１２０人の部下を束ね、若手や次期リーダーの育成にも従事。「ロボットや先端技術を活用した新しいモノづくりの考え方を生み出し、お客さまをどんどん呼び込めるオープンな工場を目指してほしい」と思いを託す。