[ その他 ]
(2018/5/10 05:00)
フープ材、ムダなく供給
■狭窄ノズルを搭載した極薄板帯状金属接合装置
ムラタ溶研(大阪市淀川区)は「フープ材」と呼ばれる、多様な電子部品に使われる帯状の薄板金属を精密に接合する装置を開発した。厚さが40マイクロメートル(マイクロは100万分の1)と極めて薄いフープ材を、電気溶接により密着させる。
溶接による継ぎ足しは難しいとされてきた極薄のフープ材だが、変形や穴あき、歪みがなく溶接でき、プレスしてもちぎれない。狭窄(きょうさく)ノズルを使い、溶接ガスを溶接箇所に集中させることで精密な溶接につなげた。村田彰久会長は「20年に及ぶユーザーから求められた難題への対応の結果」と、技術開発の軌跡を振り返る。
スマートフォンやタブレット端末などの携帯端末の高性能化と小型化、薄型化を背景に電子部品が高集積化している。このため筐(きょう)体内部に余剰空間がなくなり、材料自体の薄肉化が求められている。フープ材は長尺の帯状金属材料。回路や部品をつなぐコネクター、二次電池の電極といった電子部品に広く使われるだけに薄肉化が進む。
フープ材は巻き線のように長尺のため、連続してプレスやメッキ加工を施し部品を大量生産する。フープ材の供給が途切れた場合は、新たなフープ材をプレス機などにセットし直す。その作業時間と、加工し損ねたフープ材のムダが生産性の向上を阻んでいた。フープ材の端面同士を溶接できれば供給が滞らない。
ムラタ溶研が開発した接合装置は、極薄のフープ材の端面同士が重なることなく、互いを高密度に固定できる。多くの金属の溶接に適用できるTIG(タングステン不活性ガス)溶接に、すでに開発していた溶接ガスの狭窄ノズルを組み合わせ、溶接の密度と精度を上げた。
先端の電子部品材料に、TIG溶接の応用範囲が広がった。村田会長は「今後多くの分野になくてはならない装置になるはずだ」と力を込める。現在も、40マイクロメートルを切る薄さの実現に向けて挑戦を続けており、装置の進化を加速させていく。(大阪・高木俊彦)
(2018/5/10 05:00)
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