[ オピニオン ]
(2018/5/10 05:00)
仏ルノーと日産自動車が資本関係の見直しに着手しそうだ。背後には両社を統合させて自らの影響下に置き、自国の産業を強化したいフランス政府の意向があるようだ。だが、提携関係が不平等な形で固定化されれば、日産や傘下の三菱自動車、産業界、日本政府も巻き込み抵抗は大きくなるはず。日産と三菱自、そして関連産業がいかに競争力を高めていけるかを焦点に対応を取るべきだろう。
仏政府がルノーと日産の統合をせかしているとされる背景には、三菱自動車を含めた3社連合の企業統治の脆弱(ぜいじゃく)性にある。ルノーは日産株の43・7%を出資する筆頭株主。日産はルノー株の15%を保有するが議決権はない。そして日産の傘下には、34%を出資する三菱自がある。
企業規模で劣り、そして技術的にも日産に勝っているとは思えないルノーが微妙に日産と三菱自を支配する不安定な関係。そんな3社連合がうまくいってきたのはカルロス・ゴーン氏の存在があってこそ。日産の経営危機を立て直した功労者でルノーと日産両社ににらみがきく。
それだけに仏政府が「ゴーン後」をにらみ、ゴーン氏に頼らない関係の安定化、つまり統合を画策するのも当然と言える。
懸念されるのはルノーの社風だ。もともと「ルノー公団」を名乗っていた国有企業で、仏政府の保有株が半数を切って民営化を果たしたのは1996年。今も仏政府が20%弱のルノー株を保有する筆頭株主で、国策企業だ。
ルノーが日産を支援した99年当時、両社の世界販売台数は日産253万台、ルノー237万台でほぼ変わらなかった。それが今や日産は578万台(17年度見通し)、ルノーは343万台(17年実績、ロシアの「ラーダ」ブランドを除く)。両社の間には大差がつくに至った。
長期低迷を続けてきた「親方三色旗」のような国策企業が日産、三菱自を傘下に収めたうえ、近視眼的に仏国内の生産強化を進めるようでは提携関係に未来はない。競争力が高まるとは思えず、日本のステークホルダーも賛同しないだろう。
(2018/5/10 05:00)
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