[ オピニオン ]

【電子版】論説室から/前途多難のマハティール政権

(2018/5/10 15:30)

  • 9日、クアラルンプールで、報道陣の取材に応じるマレーシアのマハティール元首相(AFP・時事)

 東南アジアの国々の中で、中国の一大経済圏構想「一帯一路」に深く関与して注目されているマレーシア。9日実施の総選挙で、1981年7月から22年間にわたって首相を務めた92歳のマハティール氏が率いる野党連合の希望連盟が、与党の国民戦線を破った。

 マレー人、華人系、インド系の政党連合である国民戦線は1957年の独立以来、政権の座にあった。同氏は自らが生みの親であるナジブ政権の汚職体質を批判して国民戦線を離脱。野党勢力を結集しての勝利となった。

 マハティール氏は、30を超える一帯一路プロジェクトを進める前政権政策にも批判色を強め、過度の中国依存はマレーシアの国のあり様を損なう、と警鐘を鳴らした。国民はそうした同氏の声に共鳴した。

 マハティール氏は副首相に、同性愛に対する罪で入獄中のアンワル氏の妻を指名。仇敵(きゅうてき)となりながら和解したアンワル氏は国民的な人気があり、6月に出獄の予定。仮にマハティール氏が申請するアンワル氏に対する国王の恩赦がなされても、アンワル氏は議員ではないので首相には就けない。高齢のマハティール氏の健康問題もあり、前途は安穏ではなさそうだ。

 同国ではサラワク州を除き、10~11日を休日とし、その間、証券取引所、金融機関なども休業。週末を含めた4日間の休みで、冷静さを取り戻し、「新生マレーシア」の歩みを進める。(中村悦二)

(このコラムは執筆者個人の見解であり、日刊工業新聞社の主張と異なる場合があります)

(2018/5/10 15:30)

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