[ オピニオン ]
(2018/5/15 05:00)
モノやサービスを複数の個人や法人が共有するシェアリングエコノミーが花盛りだ。例えば、日本特殊陶業は機械や計測機器、工具、工場などモノづくりに特化したシェアリング事業会社「シェアリングファクトリー」の一部を5月下旬に始動する。
先行する「民泊」や「カーシェア」のサービスと異なるのは、ニーズが千差万別の生産設備を扱う点。工作機械一つをとっても特性はさまざまで、ピンポイントのニーズに合うマッチングができるのかどうか。
それでも興味深いのは、モノづくりの現場がいろいろな課題を抱えるからだ。年々、加工の難易度は上がり、納期は厳しくなる。一方で長期的な需要は不透明で新規設備の投資判断は難しい。
従来、日本の製造業は「外注」というシステムで、自社が抱えきれない仕事をお互いに助け合ってきた。それが最近では、過当競争による淘汰(とうた)と一時的な繁忙が相まって中小経営者は「仕事があっても外注先がない」との声も聞く。
日特陶はエンジン点火プラグと排気ガスセンサーが2大主力で、自動車関連の売上高は8割以上。工具事業などで工場相手の事業経験は豊富だ。シェアリングがモノづくり現場の課題解決の“救世主”となるのかもしれない。
(2018/5/15 05:00)