[ オピニオン ]
(2018/5/14 05:00)
溶接工や耐火被覆の作業員が足りないなど建設現場の人手不足が深刻だ。人口減少や高齢化で担い手が減る一方、建設需要は首都圏の再開発に支えられ、旺盛なためだ。
労働者不足を補おうと、建設業界は現場作業の省力化に知恵を絞る。建設ロボットの活用をはじめ、IoT(モノのインターネット)や人工知能(AI)など先端技術を駆使した研究開発が進む。
先日、都内の建設現場で「耐火被覆吹付ロボット」の実証実験に足を運んだ。作業員がスイッチを押すと、カーンカーンカーンと音を発して動き出し、柱に沿って下から上に順番に材料を吹き付ける。吹く場所によって自在に機敏に動き回るアーム(腕)の動きが印象的だ。
このロボットを導入すれば3人で行う作業が2人で済み、3割強の省力化が可能となる。やがて高所作業など、過酷な現場から導入が進むに違いない。
ただ省人化しても現場に人は欠かせない。実演でもロボットの吹き付け作業後、職人が台車に乗り、コテで表面を押さえていた。説明員に理由を聞くと、「コテ作業の自動化は現状では難しい」という。ロボットには得意なことを任せ、難しい作業は人間が補う。両者が協調する現場の実現はそう遠くない。
(2018/5/14 05:00)