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[ 環境・エネルギー ]
(2018/5/18 05:00)
平成30年度「環境賞」(国立環境研究所・日刊工業新聞社主催、環境省後援)の受賞者が決まった。創設から45回を数える今回は、環境保全や環境の質の向上に貢献が認められる技術や製品の開発など39件の応募があり、「環境大臣賞」「優秀賞」「優良賞」の計5件が選ばれた。受賞したテーマと企業名(代表者)は以下の通り。
■環境大臣賞
【ヤマダインフラテクノス、「鉛・PCB廃棄物を削減する循環式ブラスト塗膜除去」】
鋼製橋梁の長寿命化には塗装の塗り替えが不可欠だが、古い塗料には鉛やポリ塩化ビフェニール(PCB)などの有害物質が含まれている可能性が非常に高い。
本工法は圧縮空気で金属系研削材を投射し古い塗膜を除去。金属系研削材は非金属系に比べ湿度に弱く高価で、従来は工場内での使用に限られていたが、ドライ環境設備や研削材と塗料カスの分別装置を取り入れた移動式プラント設備を開発し、屋外の現場でも使用できるようにした。金属系研削材は粉砕しないため、有害物質を含んだ産業廃棄物や粉じんの発生を大幅に削減できる。
■優秀賞
【アクアテック、「ガスセンサー制御硫化物法による金属廃液・汚泥処理」】
重金属含有廃液の処理法において、硫化剤の添加により金属硫化物を沈殿させる硫化剤添加制御方法を開発した。硫化水素ガスセンサーを用いるプロセス制御手法を開発、硫化剤添加量の最適化を可能にした。硫化イオンと金属イオンが反応し疎水性の沈殿物を生成するため、石灰などのアルカリを添加する従来法に比べ有用金属含有回収汚泥の含水率は45%程度と低く、発生量も40%程度に抑えられ、廃水の高度処理と金属資源回収を両立できる。
【大成建設、「新規分解菌による1,4‐ジオキサン等を含む排水処理」】
工業材料として広く使用される1,4‐ジオキサンは、急性・慢性毒性だけでなく、発がん性も疑われている。近年、環境基準や排水基準に追加されたが、その難分解性から経済性と環境適応性に優れた処理技術はなかった。本件では、従来より格段に優れた分解能力を持つ1,4‐ジオキサン分解菌を発見、その優れた能力を発揮する処理プロセスを開発した。工場排水を用いた実証により処理プロセスの長期安定性も確認済みで、早期の実用が期待される。
■優良賞
【エムダイヤ、「廃タイヤ等の異素材混合物を削ぎ取る破砕・分離技術」】
微妙に傾けた回転刃で廃タイヤや光ケーブル、電子基板などさまざまな産業廃棄物を削ぎ取るようにして破砕し金属を分離できる。従来は破砕機を何台も連結させ、破砕と分離を繰り返すのが一般的だったが、設備導入や運転コストがユーザーの大きな負担になっていた。本件は1台の機械で破砕と分離を可能にした。太さの異なるワイヤを含んだ廃タイヤでも回転刃で引っかき、外側のゴムだけ削ぎ落とし、内部のワイヤをきれいな状態で取り出せる。
【東亜グラウト工業、「下水熱利用と老朽管補修を両立する技術」】
冬は温かく夏は冷たい下水熱を、空調、給湯、床暖房などに利用する。老朽管路の補修と同時施工することで導入費を節減できる。既設管内に樹脂製チューブを引き込み、光を照射する光硬化工法により更生管を構築。その際、既設管と更生管の間に熱交換マットを設置。マットを介して回収した熱は、更生管内を循環する不凍液を通じて施設へ送られ利用される。熱交換マットは下水に触れないため過酷な環境の下水道管路でもメンテナンスが要らない。
(2018/5/18 05:00)
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