[ ICT ]
(2018/5/30 10:30)
米アップルが来年投入する「iPhone(アイフォーン)」の新型モデル全てに次世代の有機EL(OLED)を採用するとの 報道に、アナリストらは懐疑的な見方を示している。
韓国の電子新聞が報じたこの記事が真実なら、多くの携帯電話に使われる液晶表示装置(LCD)を製造するジャパンディスプレイやシャープなどの大手メーカーにとってはマイナスで、ユニバーサル・ディスプレイといった有機EL技術にかかわるメーカーにはプラスだろう。29日の市場でジャパンディスプレイの株価は一時21%安と、日中の取引としては2014年の上場以来最大の下げを記録。シャープも一時4.3%下げた。 一方、ユニバーサル・ディスプレイの株価は一時、18%高まで上昇した。
アップルが全ての携帯電話機に有機ELを搭載しそうにない理由はいくつかある。JPモルガンのアナリスト、ジェイ・クォン氏はアップルがこうした決断を下すには時期尚早である上に、有機EL採用で端末価格がさらに高くなり、年内に価格帯の低いLCD搭載モデルを投入するという目的とかみあわないと指摘する。
アップル、ジャパンディスプレイ、シャープの担当者はコメントを控えた。
有機ELだけをアイフォーンに採用するというのも、アップルの販売台数を考えると厳しいだろう。同社の17年の販売台数は2億1600万台。 サムスン電子傘下のサムスンディスプレーがアップル製携帯電話の上位機種の唯一の供給元だが、サムスンは自社の携帯電話にも有機ELを組み込むため供給は限定的だ。LGディスプレイなど他の有機ELメーカーはサムスンのような大量生産の能力はない。
アナリストの間では、アップルは有機ELを活用しているものの19年に全て移行することはないとの見方が大半だ。元大投顧のアナリスト、 蒲得宇氏は「アップルが来年に3種類の有機ELモデルを発売する可能性は低い」と指摘した。(ブルームバーグ)
(2018/5/30 10:30)