[ オピニオン ]
(2018/6/12 05:00)
学校や家庭などに設けた太陽光発電設備や蓄電池を活用し、電力の需給調整を図る仮想発電所(バーチャルパワープラント=VPP)の実証事業が各地で活発に行われている。VPP事業の検証と今後の普及に期待したい。
横浜市は市内小学校11校に蓄電池を設け、2018年度から平常時の電力供給と非常時の蓄電池による電源保障をセットにしたVPP構築事業を始める。電力会社と電力契約を結び、事業を行うのは全国初だ。
通常は電力系統や校内の太陽光発電設備の電力を充電し、非常時に放電して防災用電源に役立てる。電力のピーク時間帯の需要量を下げる需給調整も行う。蓄電池の設置費用は、電気料金で賄うため自治体の負担も軽減できる。
良いことずくめだが、課題もある。特に蓄電池の容量が小さい。横浜市の場合、蓄電容量15キロワット時の蓄電池に最低3キロワット時の電力量を確保する。ただ、電力ピーク時に放電しても需給調整効果は限られる。
VPP事業の促進に向け、蓄電池などの性能向上や太陽光発電などの設備を持つ企業や家庭との官民協力が一層求められる。今年もエアコン利用で電力需要が高まる夏がやってくる。地域のエネルギー資源を有効活用し、快適な夏を迎えたい。
(2018/6/12 05:00)