[ オピニオン ]
(2018/6/13 05:00)
「経済財政運営と改革に関する基本方針」いわゆる『骨太の方針』の原案が公表された。2018年版は急務である高齢化対策として多様な取り組みを打ち出した点が評価できる。しかし財政健全化への踏み込み不足は否めず“骨太”とは言い難いものとなっている。
今回の原案で特筆すべきは『消費税』という言葉の登場回数の多さ。実に50回近くに達し、政府が19年10月に予定する消費税率10%への引き上げ実現に向けた意欲の大きさを物語っているかのようだ。
10%への消費税率引き上げはこれまでたびたび延期されてきた。当初は15年10月に予定されたが、14年11月に1年半の延期を決定した。さらに16年6月には再延期を決定、19年10月へと2年半の先送りとなった。
最初の先送りの際、安倍晋三首相は2四半期連続で国内総生産がマイナスとなったことを理由にあげた。今年1―3月期がマイナスだったため、もし4―6月期もマイナスだった場合、2期連続マイナスとなり、先送りの口実ができる。
財務省は決裁文書改ざん問題などで信頼感、存在感を薄めている。だが、消費税率の引き上げは財政健全化に不可欠。旗振り役である財務省は本来の役割をしっかり果たしてもらいたい。
(2018/6/13 05:00)