[ ICT ]
(2018/6/17 08:00)
米アップルは映画業界における次の一手を決意した。長編映画の製作だ。事情に詳しい複数の関係者によると、今後の独自の動画配信の一環としてアニメーション映画の権利取得を巡る合意が近い。アイルランドに本拠があり、アカデミー賞にノミネートされたことがあるアニメスタジオ、カートゥーン・サルーンとアップルは協議を進めていると、交渉の非公開を理由に関係者が匿名で語った。
映画はまだ製作されておらず、公開まで1年以上かかるが、アップルは米国など複数の国での配給権取得に向け協議中だという。アップルがどのような形で映画を公開するのか不明だが、アカデミー賞の条件である劇場公開があり得ると、関係者の1人は語った。他の映画候補についても作業が進められているという。14日時点で両社のコメントは得られていない。
合意は成立しておらず、まとまらない可能性もあるが、普及が進むオンライン動画市場でネットフリックスやグーグル、アマゾン・ドット・コムに挑むアップルの取り組みが新たな段階に入ったことを示すものだ。アップルは歌手エド・シーランに関する番組など独自のテレビ番組で複数の合意を結んでいるが、映画に関する発表は今までのところない。
アップルはこれまで他社の番組や映画を「iTunes(アイチューンズ)」経由で販売しており、エンターテインメント企業とはつながりがある。アップルがサービス収入の倍増を目指す中で、ネット動画を巡る事業推進は独自コンテンツに資金を投じる段階にまでに至っている。同社は手始めに音楽配信サービス「アップルミュージック」向けに「カープール・カラオケ」といった新番組への資金供給を実施した。
一方、カートゥーン・サルーンは「ブレンダンとケルズの秘密」など3本の作品でアカデミー賞候補となり、作品は世界で広く公開されている。短編映画や長編映画のほかテレビ番組の制作も手掛ける。(ブルームバーグ)
(2018/6/17 08:00)