[ オピニオン ]
(2018/6/28 05:00)
建設業界で工事現場の効率化や省人化など生産性向上に向けた技術開発が活発化している。情報通信技術(ICT)や3次元(3D)データをはじめ、人工知能(AI)技術の適用、建設ロボットを試験導入する動きも出てきた。数年前、各社はタブレット端末を使った施工管理に手探り状態で取り組んだ。試行錯誤を経て今や現場に普及し仕事の効率が上がった。新技術の開発でも成功事例やノウハウを協力会社を含む使用者全員で情報共有を徹底し、生産性向上につなげてほしい。
各社が生産性向上の技術開発に取り組む背景には、中長期に高齢化や人口減少などで技能労働者が大幅に減少する担い手不足への危機感がある。2025年度には112万人の作業者が不足し、新たに77万人を補完できても、35万人が不足するとの試算もある。この不足分を生産性向上で解消する必要がある。
また、足元では20年の東京五輪・パラリンピック関連の大型工事が本格化し、労働者の不足感とともに、労務費や資材費高騰の懸念も浮上。19年3月期業績予想のゼネコン14社平均で工事の採算を示す完成工事総利益率(単体)は前期比約1・7ポイント下回る見通しで、短期も生産性向上が欠かせない。
こうした中、例えば建築分野では、3Dモデリング技術のビルディング・インフォメーション・モデリング(BIM)やシミュレーション技術の利用が進む。設計段階では、顧客と設計の基本合意を得る工程に使われ、3D特有の分かりやすさから時間短縮を実現。急速な利用拡大が見込まれる。
各社は、「BIM推進室」に代表される専門部署を置き、効果的な活用事例や課題解決などの情報交換に力を注ぐ。地道な活動で情報共有を行い、BIMの普及を後押しする。
建設業界は働き方改革を推進中。建設工事の設計段階から各工程を総点検し、効率化・省人化につながる新技術や開発成果を、いかに全員が適材適所で活用できるか。ICTやデジタル化に続き、生産性向上の波に乗り遅れてはならない。
(2018/6/28 05:00)
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