[ オピニオン ]
(2018/7/6 05:00)
中小・小規模企業が経営課題を乗り越え、持続的発展を図るための幅広いサポートが求められている。神奈川県は中小・小規模企業が事業承継や人手不足などの経営課題に対し、必要な対策を企業が講じるきっかけとなる仕組みづくりに着手した。経営が悪化する前の早い段階から県が対象企業をサポートすることで攻めの経営にかじを切るように支援するのが狙いだ。有効性が認められれば、県内のみならず全国各地で共用することも望ましい。
県は3月に経営の現状把握と課題解決策を議論する「神奈川県中小企業・小規模企業経営の未病改善検討会」を発足した。中小支援機関や金融機関などが参加。企業の経営状態を人の健康と病気の間を連続的に変化する状態を示す「未病」に例え、県独自に企業経営の未病改善ツールを開発する方針。早ければ年内にも試行する。
未病というキーワードは黒岩祐治知事が提唱し、2017年2月に国の「健康・医療戦略」に盛り込まれたこともあり広く一般に認知されるようになった。未病を改善するには病気になってから治療するのではなく、生活の中で自分の心身状態を把握することが必要というもの。企業も人と同様に経営が悪化する前に気づきの機会を経営者に与えることが重要だと説く。
企業の健康診断ツールは、経済産業省が策定した「ローカルベンチマーク」がすでに存在する。専用シートに必要事項を入力・選択すると財務分析結果が表示される。経営の自己診断に加え、金融機関などの支援機関の対話ツールとして活用できる。神奈川県のツールは簡易なもので「問診票のようにすぐ答えられるものにしたい」(中小企業部中小企業支援課)という。
県は16年度に県内中小・小規模企業約2600社を対象に、経営課題など把握のための調査を行った。調査項目の一つの事業承継では「今の事業は自分の代限りになる」と感じている企業は約3割に上った。これに危機感を持つ県は企業経営の未病改善ツールを事業承継問題にも役立てたい考えだ。
(2018/7/6 05:00)
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