[ オピニオン ]
(2018/7/13 05:00)
第4次産業革命などのデジタル革新をけん引するのはソフトウエアの力だ。デジタル時代を勝ち抜くには、ビジネスに近いところにソフトウエアを生み出す力を根付かせることが必要だ。
デジタル革新では、IoT(モノのインターネット)や人工知能(AI)の活用がカギとなり、産業界では画像認識や機械の故障検知などで実証実験が相次いでいる。ただ、実用化の段階に入ると、採算が合わずに足踏みしてしまうことが多い。
その原因として、組織の分断化がある。実証実験は現場仕事となるが、開発は専門業者に外注したり、企画担当は他部門だったりと、ばらばらになる。
それでも目的や仕様が明確化できる開発案件は帳尻は合うが、デジタル革新を勝ち抜くには、走りながら考え、作ったものを日々改良するような取り組みが求められている。
端的にいえば、米シリコンバレーの新興IT企業のようなスタイルだ。デジタル革新で先陣を走るゼネラル・エレクトリック(GE)やフォードなどの事業会社もまた然り。少数精鋭による「アジャイル開発」や、仮説・検証を繰り返しながら改良する「リーンスタートアップ」などの手法を取り入れ、ソフトウエア開発の内製化に舵(かじ)を切り、成功を収めている。
ソフト開発には二つの大きな流れがある。一つは最初に仕様を決めて分業体制で開発する「ウォーターフォール」と呼ぶ手法。工場のように品質管理なども徹底できる。一方、アジャイル手法は大まかな仕様を決め、少数チームの一人ひとりが“多能工”となり、小さな単位で開発やテストを行う。例えるならフットサル。選手に求められるスキルはサッカーと同じでも、求められる戦術は異なる。
リーンスタートアップなどの手法は日本から見ると、逆輸入モデルともいえる。「チームが一丸となって改善し、品質に責任を持つ」といった考え方はトヨタ生産方式が手本になっているという。組織や仕事を分断する壁を越えるには、経営の意思決定が必須だ。
(2018/7/13 05:00)
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