[ オピニオン ]
(2018/7/16 05:00)
和歌山県内の事業者を中心としたユニークな産学官連携の取り組みが始まった。小型ロボットを活用して農業、物流などの地域の課題の解決や新たな産業の創出を目指す。農業分野から手がけ、介護や建設などの分野でも活用の可能性を探る計画で、地方創生のモデルケースになるか注目される。この産学官連携から設立の目的にかなった具体的な成果が早期に生まれることを期待したい。
設立した「和歌山近未来社会システム協議会」は紀陽銀行が事務局を務め、橋爪(和歌山県海南市)、藤原農機(同県みなべ町)、サンライズ(和歌山市)、フューチャアグリ(大阪府熊取町)、NTTドコモ、東京海上日動火災保険、和歌山県、和歌山大学の計9者で構成する。
少子高齢化や過疎化による農業の担い手不足の課題に対し、ロボットなどの技術を活用し解決しようと協議会を設立した。協議会会長を務める橋爪の橋爪雅彦社長は「まず『運ぶ』ことにフォーカスし、10年後の和歌山県の姿を私たちでつくるチャレンジを始めたい」と話す。
農業分野では小型ロボットを活用して収穫した農作物の運搬を自動化し、省力化と生産性の向上を図る。例えば、農園から倉庫、倉庫から集荷場までの運搬を自動化すれば、人手不足に悩む農家の負担を軽減できる。
コンソーシアムを立ち上げ、今夏に私有地内で小型自動搬送ロボットの実証実験を始め、2019年度に公道での実証実験を行う予定。これらを通じ、県内の中山間地域に適したロボットを開発する。20年度に小型自動搬送ロボットの製造、販売、サービス提供を担う事業会社を立ち上げ、事業化を目指す。
フューチャアグリの蒲谷直樹社長によると、開発するロボットは人と協調して作業し、屋外で動き、荷物専用で多機能なものとし、農家自身が組み立てるキットにすることで初期導入コストやメンテナンスコストを抑えることを想定している。
協議会での取り組みが介護や建設などの分野にも広がれば、和歌山県内のロボット産業の創出にもつながりそうだ。
(2018/7/16 05:00)