[ オピニオン ]
(2018/7/19 05:00)
BMWが製造した冷却水ポンプ用インペラー。レーザー方式の金属3Dプリンターだと1個80ドルで、新方式だと5ドル。こんな新型機を売り込むのがMIT発ベンチャーの米デスクトップメタルだ。
レーザーも電子ビームも使わず、インクジェット方式で金属粉末を積み上げる高速・低コスト機で注目。キャタピラーはこの技術を使い、建機の交換部品のオンデマンド供給を見据える。
デスクトップメタルのリック・フロップ最高経営責任者(CEO)は「日本では自動車や建機大手への販売実績がある。中小はまだ様子見だが、期待できる市場だ」と話す。伸びしろは大きいのか、自ら金属3Dプリンターのユーザーの米GEも、世界最大級の部品が造形できる機種を含め日本での直販に乗り出した。
ただ、米本社がデスクトップメタルに出資するストラタシス・ジャパンの片山浩晶社長によれば、3Dプリンターへの日本企業の受け身姿勢も浮かぶ。「複雑形状に加え部品点数を減らせることから、欧米では設計や品質保証の壁を乗り越えようと突き進んでいる。対して日本企業は生産性がまだまだ、と言って思考停止している」。
己(おのれ)の壁を破るところにイノベーションは生まれると心得たい。
(2018/7/19 05:00)