[ オピニオン ]
(2018/7/19 05:00)
政府が中小企業に対し、ITツールの導入を喚起している。大企業に比べて導入が遅れ、生産性が改善していないためだ。ITは昨今の人手不足問題の解決策にもなる。中小企業の経営者はITの活用を一段と進めてもらいたい。
経済協力開発機構(OECD)の調査によると、日本の1人当たりの労働生産性はOECD加盟国35カ国中21位となっている。過剰な品質・サービスという日本特有の問題も関係しているが、欧米に比べてITの普及が遅れている面が大きいとされる。
特に中小企業ではITに詳しい人材が大企業に比べて少なく、敬遠する傾向が強い。その結果、大企業との生産性の差が広がっている。財務省の法人企業統計によると、従業員1人当たりの労働生産性は、大企業がリーマン・ショック後の2009年を起点に20―30%改善しているのに対し、中小企業は10%弱にとどまる。
非効率な生産性の問題は収益力にも影響し、昨今の景気の好循環が波及しにくくなっている。政府はこうした状況を踏まえ、18年度の成長戦略「未来投資戦略2018」の中で、20年までに約100万社に対してITツールを導入する目標を明記した。中小企業の生産性向上を積極的に支援し、収益力の改善を後押しする考えだ。
特に力を入れるのが、経済産業省の目玉政策「サービス等生産性向上IT導入支援事業(IT導入補助金)」だ。17年度補正予算で500億円を計上し、16年度から5倍に増やした。飲食や小売り、製造業など幅広い業種を対象に、顧客管理ソフトや受発注管理ソフトなどの導入に関して最大50万円を補助する。
現在は2次公募を実施しており、8月中旬からは3次公募も行う予定だ。国が認定したITベンダーと協力してITツールを選定し申請する伴走型のスキームを採用しており、ITに詳しい人材がいなくても不可能ではない。中小企業はこうした重点政策をチャンスととらえ、IT導入を進めてもらいたい。
(2018/7/19 05:00)
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