[ オピニオン ]
(2018/7/20 05:00)
「会場はこちらです」。ある中年男性社長は最寄りの駅前で、案内板を持って来場者を誘導した。自社の制服ではない、団体のユニホーム姿はどこか初々しい。
さいたま市で6月下旬に開かれた中小企業家同友会全国協議会(中同協)の「女性経営者全国交流会」には全国から約820人が集まり、男性が半数を占めた。若手の男性社長は、東北の伝統工芸の世界発信をテーマにした分科会の進行役を務めた。
“手づくり企画”で知られる中小企業家同友会が元気だ。全国の会員は4月現在、4万6363人で過去最高。3・11で被災した宮城県南三陸町や岩手県陸前高田市などでは、組織率が2―3割と高い。
要因には経営者同士が学び合うことへのニーズがあるようだ。中同協の平田美穂事務局長は「人口減少や高齢化が進む地域は、自分たちが支え合って守らねばとの危機感が強いから」と言う。
同会メンバーは自社の経営理念を確立し、作った戦略・計画は仲間に披露する。「中小企業憲章」「中小企業振興基本条例」を行政に働きかけ、実現させた中同協は設立50周年を迎える。女性交流会で耳にした「事業承継が叫ばれる前から、仲間内で継承について話をしている」との言葉は頼もしい。
(2018/7/20 05:00)