[ ICT ]
(2018/7/30 16:30)
米フェイスブックはこれまで1人の絶対的なリーダーを擁してきた。1株当たりの議決権数に差を付けた種類株の発行により、共同創業者で会長兼最高経営責任者(CEO)のマーク・ ザッカーバーグ氏は多数の株式を売却した後も引き続き過半数の議決権を掌握している。
一部の株主は不満を表明していたものの、大多数の株主は株価急上昇が続く間は満足し、あえて文句は言わなかった。ところが先週の株価急落でザッカーバーグ氏の会長交代を求める声が強まった。
ピボタル・リサーチ・グループのアナリスト、ブライアン・ウィーザー氏は、「状況が悪化するまで一度も問題化しなかった」ものの、フェイスブックの指導体制の変更は不可避であり、最近の業績は交代時期を早める可能性があると指摘。「現状維持は想像し難い」と述べた。フェイスブックの広報担当はコメントを控えた。
26日にフェイスブックの株価は一時20%下落、時価総額は1200億ドル(約13兆3000億円)減と、個別株で1日に吹き飛んだ金額としては過去最大となった。この数カ月間続いたフェイスブックの社会における役割や、ビジネスモデルの倫理を巡る議論を乗り切ってきた株主も、同社のコア事業の伸び鈍化を受けて急きょ背を向けた。デービッド・ウェーナー最高財務責任者(CFO)は同社売上高の伸び率が今年7-9月(第3四半期)と10-12月(第4四半期)のそれぞれ「1桁台後半のパーセンテージ」で鈍化するとの見通しを示した。
信頼感の低下に伴い、ザッカーバーグ氏に議決権のさらなる分与と、取締役会会長職をより独立した人物に譲るよう求める声が強まっている。
昨年、ザッカーバーグ氏の会長交代の株主提案を支持したとトリリアム・アセット・マネジメントの株主権利擁護担当ディレクター、ジョナス・クロン氏は、「ザッカーバーグ氏は自身にしか責任を負っていない」と指摘。26日の株価急落以来、会長交代を支持する株主の声が電話や電子メールを通じて新たに届けられているとした。これら株主の氏名は明らかにしなかった。(ブルームバーグ)
(2018/7/30 16:30)