[ オピニオン ]
(2018/8/8 05:00)
2016年4月の電力小売り全面自由化に続き、17年4月には都市ガス小売りも全面自由化され、エネルギー産業は大競争時代を迎えた。電力・ガス市場は専業から多角化する既存事業者、新規参入組が入り乱れる揺籃期(ようらんき)にある。再生可能エネルギーが普及してきたとはいえ、今なおエネルギー産業は原燃料の大部分を化石資源に依存する。安さだけに目を奪われず、エシカル消費(倫理的消費)が企業行動を左右できることも肝に銘じたい。
電力自由化で異業種から参入した新電力は、既存事業と組み合わせたサービスで電力大手が抱え込んでいた顧客切り崩しを図った。一般消費者との接点を持たない事業者は、契約期間を定めて割引料金を設定する手法に走った。新電力にとってシェアの確保・獲得は絶対条件。必然的に安さをアピールすることがセオリーとなる。
都市ガス全面自由化以降は、予想された通り電力とガスのセット割引が主流になり、エネルギー事業者間の熾烈(しれつ)な競争に突入しつつある。
通信自由化も同じ道をたどった。1985年の日本電信電話公社(電電公社)民営化で新電電が誕生。固定電話の中継サービスを足掛かりに携帯キャリアへと事業を展開。ただ、通信とエネルギーでは事業環境が大きく違う。エネルギー産業は事業そのものが地球温暖化をはじめとする環境問題に直結する。
米国の未来学者、アルビン・トフラーは80年の著書『第三の波』で、消費者が生産活動にかかわるプロシューマー(生産消費者)の出現を予言した。エネルギー分野では、2009年に始まった住宅用太陽光発電の余剰電力を買い取る固定価格買い取り制度(FIT)がそのまま当てはまる。住宅用太陽光発電の買い取り期間は10年で、19年に期間満了の「卒FIT」が出始め、いよいよプロシューマーとしての経営判断が問われる。
エネルギーは価格以外で色が付けにくい商材なのは確か。だが、事業者を選ぶプロセスもプロシューマーへの道だ。“賢い選択”をしたい。
(2018/8/8 05:00)
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