[ オピニオン ]
(2018/8/14 05:00)
腰折れが懸念されたわが国の景気は、緩やかな回復基調にあることが明らかになった。好調な企業収益や良好な雇用情勢からは今後も成長持続が期待されるが、米中貿易戦争が世界経済への阻害要因となり、日本経済に深刻な打撃を与える可能性があるため、楽観は許されない。
内閣府が発表した2018年4―6月期の実質国内総生産(GDP)1次速報値は、年率1・9%増で、2四半期ぶりにプラス成長を記録した。主な要因はGDPの約6割を占める個人消費が前期比0・7%増と持ち直したことに加え、設備投資が1・3%増と前期より拡大したことにある。
プラス成長の要因が輸出を中心とした外需でなく、内需にあることは今後の成長を考えるうえで心強い材料だ。外需は海外要因次第で振幅が大きく、安定した要因になりにくいためだ。個人消費と設備投資という内需の二本柱がGDPを押し上げた背景には賃上げや好調な企業収益があるのは言うまでもない。企業には今後も賃上げと投資への積極的な姿勢が望まれる。
4―6月期はプラス成長となったが、今後を展望すると不安材料が多い。西日本集中豪雨で地域的ではあるが経済活動が停滞したほか、7月以降の猛暑で外出を手控える動きがみられ、消費が減退している。加えて米トランプ大統領の保護主義的な通商政策に端を発した米中貿易摩擦が激化し、貿易戦争に発展しつつあることが気がかりだ。
貿易戦争が世界経済に不確実性をもたらすと、世界的な貿易量が縮小し、世界経済の成長を阻害することが危惧される。その結果、わが国の輸出が打撃を受けるだけでなく、円高が進行して株価が下落する可能性が大きい。また、トランプ大統領が自動車の輸入関税を引き上げるとしており、それが実行されるとわが国自動車業界への影響は計り知れない。
景気を力強いものにするため、政府は成長戦略への取り組みを強化して、企業の稼ぐ力を後押しする必要がある。それは経済の好循環を生み、デフレ脱却につながるだろう。
(2018/8/14 05:00)
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