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[ 商社・流通・サービス ]
(2018/8/23 12:00)
【ロンドン=時事】英ロンドン市はこのほど、「ウーバー」に代表される配車サービスの規制を政府に要求した。「ブラックキャブ」の愛称で親しまれるロンドン名物の黒塗りタクシーを保護するのが狙い。米ニューヨーク市が規制を導入したのに続く動きで、世界の主要都市でタクシー業界と新興の配車サービスの対立が先鋭化している。
「規制は喫緊かつ必要な行動だ」。カーン・ロンドン市長はグレイリング英運輸相に宛てた書簡でこう訴えた。英では規制の権限は国にある。市長は、ブラックキャブが2万4000台に減少する一方、配車サービスは11万台を超え、渋滞や環境汚染の原因にもなっていると指摘。ニューヨーク市と同様に配車サービスの車の数に上限を設けるよう求めた。
市長の要求の背景には、便利で安いウーバーに客を奪われ苦境に陥ったタクシー業界からの切実な訴えがある。ロンドンのタクシー運転手の団体は、運転手1人当たりで年平均約1万ポンド(約140万円)の減収につながったと主張している。
一方、ウーバーは「むしろ渋滞や環境汚染の問題を解決する一助となりうる」と真っ向から反論。配車サービスの運転手団体幹部は地域紙シティーAMの取材に「時代遅れの保護主義だ。まったくばかげている」と市長を批判した。
スペインのマドリードやバルセロナでは今夏、ウーバーへの規制を求めてタクシー運転手がストライキを実施し、道路を封鎖。観光シーズンが佳境を迎える中、対立は欧州の他の都市にも広がっている。
(2018/8/23 12:00)