[ オピニオン ]
(2018/8/27 05:00)
私たちの体はさまざまな組織が連携し機能している。だが、がんの手術などを行った際、本来離れている組織同士がくっつくことがある。それを癒着と呼ぶ。
文部科学省と大学との癒着に端を発する一連の事件が波紋を呼んでいる。東京医科大学に対し文科省支援事業の対象校とする見返りとして息子を同大学に不正入学させたとして文科省の前局長が逮捕され、文科省の信頼は地に落ちた。
同大学への調査が進む中、入学試験で女性受験者の点数を一律に減点するという問題が発覚。ネットや報道では「女性差別だ」とする意見がある一方で、「理解できる」「外科医となる男性医師がほしい」との医療現場からの声も挙がった。医師の供給源となる大学の現実と理想とが乖(かい)離している現状が浮き彫りになった。
文科省は10日、医学部医学科を置く大学に向け入試選抜に関する調査票を発出した。1大学の医学部だけの問題ではなく医学会全体の問題として解決することが求められる。
手術で体を切り開くと、すでに別の場所にがんが転移していることがある。「もはや手遅れ」となる前に徹底的に患部を取り除く必要がある。不正や差別といった再発を防ぐためにも国全体での防止策を講じてほしい。
(2018/8/27 05:00)