[ ICT ]
(2018/8/28 10:00)
米アップルは近く、昨年発売した主力製品である「iPhone(アイフォーン)X(テン)」と同じようにスクリーンが縁から縁まで広がるデザインを採用した3つの新製品を投入する計画だ。価格や機能、サイズの幅を広げて魅力を高めるという。事情に詳しい複数の関係者が未発表製品だとして匿名を条件に明らかにした。
だが、どの機種も昨年のアイフォーンXや2014年の「アイフォーン6」のようにデザインを刷新するモデルにはならない。アップルは来年、より大幅な変更を計画していると関係者らは付け加えた。
昨年11月に発売したアイフォーンXは、ウォール街のアナリストの事前予想ほどの大ヒットにはならなかったものの、売れ行きは引き続き好調で、スマートフォン市場でのアップルのシェア拡大に寄与している。
新機種は9月に発表される予定で、アップルの戦略修正を鮮明にしそうだ。アイフォーンの新規ユーザーを取り込むよりもむしろ、平均価格を着実に高めつつ、アクセサリーやデジタルサービスの売り上げを支えるアクティブ端末の総台数を増やすことが同社の最近の目標だ。
アップルのベテランアナリストで、ループ・ベンチャーズのマネジングパートナー、ジーン・マンスター氏は、「アイフォーンは年率0ー5%成長の局面に入りつつあり、今秋の同社の動きはその軌道に沿うものだろう」と予想。投資家にとって「本当の焦点」は引き続きアイフォーンであり、「アップル・ウオッチ」や「AirPods(エアポッド)」、「アップル・ミュージック」など同社の他の製品・サービスのほとんどのハブだからだと付け加えた。アップルの広報担当、トルーディー・ミュラー氏はコメントを控えた。
関係者によると、新機種の中でハイエンドモデルは約6.5インチのディスプレーを採用。アイフォーンでは群を抜く大画面で、市販される主要スマートフォン製品でも最大級となる。背面は引き続きガラスで、ステンレス鋼のエッジを使い、デュアルレンズカメラも搭載する。ソフトウエア面で大きな違いになるのは、メールやカレンダーのようなアプリでコンテンツを並べて閲覧できる点だという。また、アップルのスマートフォンとしては2番目の有機EL(OLED)採用製品になる。
iPhone8後継、iPhoneXに似た6.1インチ液晶に
マンスター氏は「より大きな画面の採用は需要に常にプラスだ」と述べ、アイフォーンの販売単価の押し上げに寄与すると予想した。販売単価の上昇はここ数四半期の売上高の伸びを支えており、直近の四半期のアイフォーンの平均販売単価は724ドル(約8万円)と、1年前に比べて 19%上昇している。
アップルはまた、現行アイフォーンX(5.8インチOLED搭載)のアップグレードも計画しているという。
新機種で最も重要になるのは「アイフォーン8」の後継と位置付けられる比較的安価なモデルだ。外観はアイフォーンXに似ながらも、6.1インチ近い大画面を採用し、複数のカラーを投入。アイフォーンXのステンレス鋼ケースの代わりにアルミニウムの縁を使い、コスト抑制のためOLEDではなく安価な液晶ディスプレーを用いる。
アイフォーン新機種以外にもアップルは今年、アップルウオッチや「iPad Pro(アイパッド・プロ)」の新機種開発に取り組んでいる。ウオッチは現行モデルと外観は似るが、スクリーンを縁から縁に広げたモデルになる。全体のサイズは変わらない。新型アイパッド・プロは約11インチと12.9インチの2サイズ展開で、枠はさらに薄くなるという。(ブルームバーグ)
(2018/8/28 10:00)